全身タイツとお笑い
先日、 家族がテレビで 世界陸上を見ていたので、
横でぼくも、 一レースだけ 見てみることにした。
女子の 100メートル走だった。
選手の中に一人、 アイススケートのような、
全身コスチュームを着た選手がいた。
顔以外のすべてを覆(おお)った 赤の全身タイツ。
ドラえもんのようだった。
あとで犬友に その話をしたら、 イスラムの人は 顔以外の素肌は
見せてはならないのだという。 戒律の問題なのだろう。
よーい…… パン!
一斉に スタートが切られた。 各選手、 壮絶なデットヒートだ。
真剣に走りあう選手たちの横で、 全身タイツの選手が走っている。
笑ってはいけないとおもいつつ、 つい、にんまりしてしまった。
赤い全身タイツを着ているという、 ただそれだけのことで、
ぼくの目には、 お笑い芸人のように映ったのだ。
だが、 全身タイツから お笑いを連想するのは、
日本人なら、 ぼくだけではないはずだ。
お笑い大国である 日本という土壌において、 全身タイツとお笑いは
ある種 密接な かかわり合いを 孕(はら)んでいる。
全身タイツ・イコール・お笑い、という思考回路が、
一部の日本人の どこかで できあがっているような気さえする。
結局、 全身タイツの選手が 上位に食い込むことはなかった。
残念。
◆この記事は、間もなく消滅するgooブログに2009年8月29日に掲載したものです。
©2009 Daisuke Asaoka