いまどきの修学旅行

このあいだ、姉から中学生になる息子の修学旅行の話を聞き、その
あまりの効率のよさにおどろいた。

ちなみに姉の息子は東京都の中学校。
行き先は 京都・奈良。二泊三日の旅だ。

一日目。
東京駅に現地集合。学校集合ではない。

しかも、荷物は前日 旅館へ宅急便で送る。
合理的だ。

新幹線のなかで茶弁当をひろげながら、現地へ移動。
コンビニ弁当の子どもが少なくないそうだ。

現地到着。

二日目。
電車とバスで、班ごとに好きなところをまわる。

昼食は どこで飲み食いしてもよい。 中学生ならマクドナルドといったとこだろうか。

姉の息子と同じ班だった仲のいいクラスメイトが、
ここで〝 現代っ子 〟ぶりを発揮した。

祇園 (ぎおん) の そば屋を あらかじめインターネットで予約。
班のメンバーが ひとり残らず20%オフになるクーポン券をプリントアウトしてきたらしいのだ。

この子は交通アクセス、道順もメンバー全員ぶん、すべて刷って
きたそうだ。

三日目。
この日もタクシー三十台で 好きなところをまわる。
どこへ行ってもよい。

ただし、清水寺などの〝 チェックポイント 〟には 足を運ばねば
ならない。 〝 チェックポイント 〟 では、先生が待機している。

これは生徒たちが見物をサボって、 喫茶店などに一日中たむろして
いないようにするためか。

タクシー料金はあらかじめ払い込んであるが、駐車場料金は別途
清算しなければならない。

新幹線で東京へ。
品川駅で現地解散。

校庭で校長の「家に帰るまでが 遠足です」というスピーチは聞けない。

ほかの中学も、修学旅行はだいたい七、八年前からこんな感じらしい。

ぼくはちょっと驚いた。これはほとんどフリーツアーではないか。
少なくとも、ぼくが中学だったころの、学年での団体行動は
もうどこにもない。

個人主義が育つ時代になったという解釈もできなくはないが、〝 共通の利 〟がなければ、集団行動はしない。

そんな時代が到来したということかもしれない。

◆この記事は、2010年7月21日に、間もなく消滅するgooブログに掲載したものです。

©2010 Daisuke Asaoka