とんまな武器
子どものころ、 ぼくは近所の子どもたちとお気に入りの武器を
持ち寄り、 そのへんを駆けまわっていた。
銀玉鉄砲。 水鉄砲。 先っぽが電球で光る光線銃。 十手。
プラスチックの刀。 野山におっこちていた木の棒。
ぼくの武器は超神棒というやつだった。
これはどういうものかというと、 棒の片っぱしがグーのこぶし、
もう一方の先がチョキの手になっている。
『 超神ビビューン 』 という、 その頃はまっていた特撮番組に
登場した 〝 超神ズシン 〟 というレンガでできたヒーローの
武器だった。
超神ズシンは、 重量挙げの選手という設定のキャラクターだ。
ボールになって敵に体当たりするという、 わけのわからん
ヒーローである。
超神棒の使い方はこうだ。
敵が近づいてきたら、 グーのほうを下にして、 「 ズシーン!
ズシーン! 」 と叫びながら、 地面を叩く。
すると、 巨大地震が起こり、 敵はみな、 よろけて倒れてしまう。
チョキのほうの使い方は おぼえていない。
番組のなかで 超神ズシンが超神棒を叩くと、 画面が揺れ、
ほんとうに巨大地震が起きたかのように見える。
だが、 子ども同士の遊びでそれはない。
ぼくが 「 ずしーん! ずしーん! 」 と地面を叩いたら、 みんな
「 うわ~! 」 とよろける演技をしなければならない。
いま考えると、 とんでもなく とんまな武器だった。
◆この記事は、もうすぐ消滅するgooブログに、2010年11月10日に掲載したものです。
©2010 Daisuke Asaoka