中島らもさん命日

中島らもさんがこの世を去って、 今日でちょうど21年がたつ。

大ファンだったらもさんの逝去、 そして その二週間後に交通事故で
意識不明の重体。

2004年は、 ぼくにとって 印象の深い年だ。

見舞いにきた家族から 「 何がほしい? 」 と訊かれ、 寝たきり状態だった
ぼくは 「 中島らもの本 」 と答えたようだ。 

なぜわかるかというと、 旭川にある冨貴堂書店のブックカバーがかかった
『 牢屋でやせるダイエット 』 という著書が、 いまも手元にあるからだ。

横浜の病院に入院していたときは、 骨折していないほうの一足だけで、
寝間着のまま 病院から百メートルくらい離れた古本屋へ 小説
『 ガダラの豚 』 を買いに行った。

中島らもの本によって受けた影響は とてつもなく大きいが、
らもさんの魅力は 存在そのものの 味わい深さにある。

すべては 光と影でできている。

小説 『 ガダラの豚 』 のなかで、 らもさんはそう書かれた。

この世は、 けっして清澄なエレメントだけで できてはいない。

人の世のいかがわしいところ、 ダークゾーンを知り尽くされていたから
こそ、 らもさんには人よりも きらめきが見えたのではないだろうか。

©2025 Daisuke Asaoka