僕の脳画像 その2
じつをいうと 『 オレンジ病棟 』 を書いているとき、 そして
書き終わってからも 自分が高次脳機能障害であるのか
確信は持てなかった。
心のなかで、 もしかしたら自分は統合失調症なのではないか、
という疑念があったのだ。
健忘。 注意障害。 集中力の低下。 極端に疲れやすい脳。
そして 気分の落ち込み。
小説の資料をチェックしている段階で、 そういった症状は
統合失調症にも見られることをネットで知ったからだ。
小説では、 なんとかそういった部分をおおい隠そうとしながら
書いたところがある。
断っておくが、 ぼくは 統合失調症をどうこう言うつもりはない。
いまや百人にひとりはなる 病 ( やまい ) だ。
ただ 自分の場合、 部分的に 高次脳機能障害がテーマである
本を出しておいて、 ずれていたりしたら、 きまりが悪いと
おもったのだ。
ところで画像所見での脳の委縮は、 統合失調症にも見られるらしい。
そこらへんのことについて、 先ごろ 医師にたずねてみた。
以下、 医師の説明を録音したテープより。
(医師の確認と了承はとってあります)
『 統合失調症は内因性の精神失調といって、 脳の機能の目に見える
障害はない。 朝丘さんは明らかに損傷が目に見えてある。 脳に
ダメージが与えられたことは確かなので、科学的に裏付ける根拠が
あるので、 こういう場合、 ぼくたちは機能性 ( 内因性 ) の病名
という線はない。 見た目上はなんともないよっていうのが機能性の
診断をつける大前提。 朝丘さんはダメージが明らかにあるので、
そういう病名はぜったいにつかない。 統合失調症の場合も脳の病気
だし、 最終的には脳の萎縮がくるといわれているけど、 それは認知症
だとか 脳挫傷後とかに縮むのと比べると、 すごく地味。 だから、
肉眼では拾えない。 細かく統計とかにかけると 確かに縮んでいる
かもねっていうレベル。 朝丘さんの場合とは まったくちがう。 脳の
障害的に見て類似点はあるけれども、 診断の時点では明確な差が
ある。 それはまあ、 ぼくだけの意見ではなく、 医局全体のカンファ
レンスでみんなで相談して診断決めてますから、 ぼくらは自信を持って、
この診断を言い続けます 』
上記のような説明を受けても、 気が晴れるといったことはない。
ぱっと見でわからないので、 人から理解されづらい もどかしさ
みたいなものを感じることがあるからだろう。
理解されようなんて、 考えないほうがよいのかもしれない。
◆この記事は、もうすぐ消滅するgooブログに、2010年11月22日、25日に掲載したものです。
©2010 Daisuke Asaoka