チコネッティー判決
『 裁判官の人情お言葉集 』 (長嶺超輝 著) という本に、 オハイオ州に
勤務するチコネッティー裁判官について書かれたチャプターがあった。
マイケル ・ チコネッティー。
〝 法廷のトリックスター 〟〝 軽犯罪の料理人 〟 と呼ばれるこの男、
〝 目に目を、 歯には歯を 〟 で 被告人に辱しめを与える判決を言い渡す
のだそうだ。
たとえば 飼い犬を撃ち殺した者に対しては、 安全パトロール犬の
コスプレをして ソーシャルサービスをすれば、 刑を減ずる。
警官をブタと侮辱した者に対しては、 ブタのそばで 「 ブタは警官では
ありません 」 と声を大にして言えば、 刑を減ずる。
果たして これは、 乙であるといえるのだろうか。
ぼくは 首を傾 (かし) げてしまう。
仮に 日本でこれをやるとすれば、 どうなるだろう。
コンパ帰りの学生、 あるいは小酔した会社員が酒興に乗じて、
街頭でマネする光景を想像するのは 容易 (たやす) い。
軽犯罪があとを絶たない最近のわが国で、 この程度の奉仕で減刑されるので
あれば、 よりイージーな心づもりで 罪をおかす者が増加する気さえする。
話は変わるが、 以前 『 刑務所の中 』 という漫画を読んだことがある。
映画化もされ、 ビデオでも見た。
受刑者の日常を描いた作品なのだが、 刑務所の中で出される給食が
おもいのほか大盤ぶるまいなので ぶったまげた。
プラスチックの茶碗に盛られたご飯。 トン汁。 味噌汁。 金時豆。
マーガリンと小倉小豆を たっぷりと塗りたくってかじるパン。
病院食と変わらない。 いや、 塩分や糖分、などの
制限がないぶん、 それ以上に献立は多彩だ。
月に一度 講堂で催される映画鑑賞会では、 お菓子とジュースがつく。
そして、 正月も申し分のない おせち料理。
海老フライ。 アジフライ。 ピラフ。 雑煮。 シューマイ。
もりそば。 ようかん。 フルーツポンチ。 スナック菓子。
書いてるだけで 涎 (よだれ) が出てきそうだ。
◆この記事は、2010年6月15日に、間もなく消滅するgooブログに掲載したものです。
©2010 Daisuke Asaoka