表紙のイラスト解説 その15

検査台の上で 横向きに寝かされるクルミ。
口から胃カメラの管(くだ)が さし込まれていく。
検査の結果、 食道にも 交通事故による余病が……。
現実の私も、交通事故の影響で、いまも食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎がある。

『 オレンジ病棟 』 にでてくる病院食のメニューは、 実際に入院したときの
食事に基づいて ぼくが作成した。
入院中にだされる食事には、 いつもそのときのメニューが記載された
献立表がついてくる。
寝たきりだったころは、 献立表はトレイにのせたまま下膳してしまって
いたが、 入院生活が進むにつれ、 いつとなしに収集するようになっていた。
病院食は、 患者の体質やコンディションにもとづいて、 管理栄養士さんに
より作成されたものである。
病院や病棟によって、 メニューはバラエティーに富んでいた。
ベテランの入院患者になると、 ご飯でなくパン食にしてもらったりすることを
あとになって聞き覚えた。
小説のなかでは 食事のシーンが幾度となくでてくるが、 こうしたメニューは
献立表のなかから、 それぞれのおかずのマッチングを考えながら、 病棟
ごとの最たるものを選り抜き、 いくつか管理栄養士のブログを参考に
作成した。
内科にいたころは、 全粥食、 中粥食、 流動食をだされたが、 話を
シンプルにするため、 流動食でそろえた。
ちなみに写真の献立表は、 大みそかのときのもの。

写真は、 旭川の病院に手術で入院したときに撮ったもの。
およそ半分は 同室患者さんのお福分けだ。
病室が大部屋だったせいか、 そのころ入院していた患者さんたちは、
家族がさし入れたお惣菜や、 自分で売店で買ってきた茶菓子を
同室のみんなにお福分けしていた。
ぼくも病室の人数分、 売店で買ったアイスクリームかなにかを
みんなにお福分けし、 ベッド上でとりとめのない話をしながら
打ち寛いで間食いした。
土地柄なのか、 旭川の病院にはおしゃべり好きで 心のあたたかい
患者さんが多かった。
まだ寝たきりだったころ、 ほかの患者さんの見舞いに来ている人で
「 大丈夫? なにか欲しいものがあったら、 いつでも言ってね 」
などと、 毎日欠かさず言葉をかけてくれるご夫婦もいた。
そのご夫婦とは、 今日 ( こんにち )も交流が続いている。
この記事は、もうすぐ消滅するgooブログに、2011年1月6日、10日、14日に掲載されたものです。
©2011 Daisuke Asaoka