ペットになりたい?

ぼくの姉の友人は、 幼稚園で働いている。

その人の話によると、 かつての女の子たちはおままごとをすると、 お母
さんの役をやりたがったが、 いまはちがうという。

では、 なんの役をやりたがるかというと、 ペットの役なのだそうだ。

近ごろ、 東京では 〝 お犬様 〟 が多いらしい。

かわいい洋服を着せられ、 雨の日にはレインコート。 ベビーカーに乗せ
られている犬がけっこういるらしい。

そういう様子を見ている子どもたちは、 自分も同様にかわいがられたいと
おもっているらしいのだ。

愛されることに飢えているのだろうか。

仮にペットになれたとして、 それが幸せといえるのだろうか。

「 生まれついて不幸という概念を知らない人たちに、 はたして幸福の
 意味がわかるのだろうか 」

故中島らもさんが 小説のなかで書かれた、 そんな文章を思いだした。

◆この記事は、もうすぐ消滅するgooブログに、2012年7月18日に掲載したものです。

©2012 Daisuke Asaoka