役に立ったカセットレコーダー その2
前回の続き。北海道まで車で行ったときのカセットレコーダーの記録。
「 宮城県を通って、 盛岡を越えて……。 盛岡は岩手県か。 帰り
また同じ道を通って帰るの、 すごく面倒くさいから、 帰りは秋田、
山形方面で帰ろうかな。 それも面白いかもしれないな。 そうすれば
飽きないし、 また戻るって感じがしない。 それに何か新しい発見が
あるかもしれない。 うん 」
「 ちょっと道路を甘く見ていた。 きついわ正直 」
「 なんとか渋滞を抜けました。 ……て、 なんで敬語使ってるんだよ、
おれは 」
「 旅行だから贅沢しようかっていうと、 そうでもないね。 北海道の
ラーメンくらいかなあ……。 あんまり金を使う気にならないっていうか、
うん。 無理して特産物を食っても仕方ないし……。いま、 どこに
いても食えるしねえ 」
「 あー、あー。 三日目も終わった……。 目の前はまっ暗な海だ。
ここはフェリー乗り場。 海の向こうには北海道があるんだ。
まっ暗で、 となりには大型トラックが停まっている。 キューヴの
シートを倒して、 ベッドにした。 こういうところで夜を過ごす
のも悪くない。 こういう夜があとどれだけあるのか。 都会じゃあ
キューヴのなかでなんて、 なかなか寝れないからなあ…… 」
「 いま北海道道立図書館の横を通った。 図書館は 右手に見えて、
札幌と江別のあいだにあるんだけれど、 ゴルフ場のまん中に
図書館があるようで すごいグリーンの量だ 」
「 北海道は お天気雨がすごく多い。 それで 雲がすごく低いから、
雨の降っているところと 降っていないところが、 すごくはっきり
している。 いままで雨が降ってたかとおもうと、 50メートル
したら 急にからっとしていて、 道路まで乾いていたり……だとか 」
「 小噺 (こばなし) で、 牛のあたまの部分が濡れていて しっぽの
部分は濡れてないっていうのがあるけれど、 その小噺も あながち
間違いではないな 」
「 月曜日。 旭川に着いて温泉に来てみたんだけれど、 2500円も
するからやめる。 どうせ2500円払うなら、 富良野で露店風呂に
入ったほうがいいや 」
「 北欧といった感じだ、 富良野は。 景色に見とれて 事故起こし
ちゃいそうだ。 なんか a-haのセカンドアルバム 『 Scoundrel
days 』 のジャケットそのものといった感じた。 うーん、 畑が
きれいで 雲も なんか絵のようだ。 〝 遥かなる空と大地 〟 って
感じ 」

そして この日の夜さり方、 ぼくは 車にひかれることになる。
この記事は、もうすぐ消滅するgooブログに、2010年8月27日、30日に掲載したものです。
©2010 Daisuke Asaoka